昨今様々な種類の災害が発生している。当院も災害拠点病院であり,有事の際には地域及び地域外での活動を行う必要性がある。そのような中で,減災教育や地域との連携を意識した看護職の育成が急務である。そのため、災害看護教育として2012年から取り組んでいる。日常の看護を通して、有事の状況を意識しての想像と創造が出来るような教育を目指し取り組んでいる。2015年度はトリアージタグを傷病者とみなし、多数傷病者受け入れのシミュレーションも行っている。
~火災発生時どのように動くか?・・・想像しよう~
~大規模災害発生時当院の役割・対応を机上シミュレーションで学ぼう!!~
~多数傷病者受け入れ時のシミュレーション~
看護部では毎年行う防災訓練で多数傷病者受け入れ訓練を体験し自分の動きを行動レベルで考える機会としている。しかし、病棟での交代勤務者は夜勤もあり、訓練参加が難しい現状がある。出来るだけ多くの看護スタッフに訓練の体験をしてもらう事を目的に多数傷病者受け入れシミュレーションを行っている。
毎年1次・2次トリアージ研修、フォローアップ研修(訓練直前)を行っている。災害発生時にトリアージを行う人材の育成は急務であり、トリアージタッグの記載内容の理解や共通認識の教育が必須である。防ぎ得た災害死を1例でも減らすため、現場で救急隊員が何にフォーカスを当て観察し搬送しているか、トリアージタッグから瞬時に状態を班暗視、院内搬入トリアージから救護所、そして必要な治療へと命をつなぐためトリアージナースの育成を継続する事が重要であると考えています。
看護職員数:450名のうち認定トリアージナース85名(平成28年4月1日時点)
※1次トリアージ(START法)
講義:①START法とは
②トリアージタッグの記載方法と記載内容について
演習:①例題を示し、赤・黄・緑・黒のカードを用いてトリアージの判定を行う
②人型を使用し、想定を付与して2人1組でトリアージとタッグに記入を行う
③最後に○×の札を使用して、クイズ形式でトリアージの復習を行う
研修会後のアンケート結果
① 災害拠点病院の看護師として災害看護の知識が深まった
② トリアージの必要性が理解できた
③ トリアージタッグの内容の理解やトリアージの介助がわかった
④ 消防との共通認識にも役立つ
⑤ トリアージが日常業務のアセスメントに活かせる
※トリアージナースフォローアップ研修
毎年度行われる災害訓練の中でトリアージナースが積極的に活動できるよう配置場所を考慮し、フォローアップ研修を災害訓練直前に行う事でスキルの維持・向上を図っています
委員会では2013年度よりムラージュ(傷病をより効果的に見せるための化粧)学習会を行ってきた。年1回行われる防災訓練では、看護部災害対策委員会のメンバーが傷病者役の町内会の方やボランティア、スタッフにムラージュを行っている。ムラージュと共に演技指導を行う事でよりリアルな傷病者となり、訓練を充実させています。
災害支援ナースとは、看護職能団体の一員として、被災した看護職の心身の負担を軽減し支えるよう努めるとともに、被災者が健康レベルを維持できるように、被災地で適切な医療・看護を提供する役割を担う看護職のことです。都道府県看護協会に登録されています。災害支援ナースによる災害時の看護支援活動は、自己完結型を基本としており、自律した看護能力を必要としています。 当院は、現在11名(2019年2月1日現在)登録しており、災害拠点病院として地域・社会貢献の一環として不測の事態に対応できるよう準備を行っております。今後も定期的に研修を受講し、新たな災害支援ナースを登録していく予定です。
2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震において、当院の看護師2名も9月25日より5日間厚真町に設置された避難所で活動させていただきました。
例年災害訓練後に、参加時に撮影した状況を外来メイン通路(メディカルストリート)へ展示し、広報活動とさせていただいております。
災害拠点病院としての活動だけでなく、実際の活動に説明文をつけて展示することで、外来通院される患者様の興味を引いています。